“山下和仁編曲の展覧会の絵”。
クラシックギター界におけるパワーワードとも言える大作中の大作。
生で聴いてきました。全曲。
南米の天才ホルヘ・カバジェロ
今回の演奏はペルー出身のホルヘ・カバジェロ(Jorge Caballero)さん。
山下和仁さん本人以来、世界で初めて展覧会の絵を録音した超絶技巧ギタリスト。
イーストエンド国際ギターフェスティバル(コンクール)主催の樋浦靖晃さんにより今回の日本公演が実現しました。

会場のギター文化館(茨城県石岡市)。

のどかすぎて…。
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「超絶」よりも「美しさ」が際立つ
超絶技巧の触れ込みだったので、あえて動画等での予習はゼロ。
第一部のアルベニスとバッハでビビりました。とんでもない美音と正確無比なテクニック。
特にバッハの立体感が凄まじいです。月並みな表現ですが「ほんとに1台で弾いてるの?」と本気で思わされました。
この時点で世界トップレベルの演奏を感じます。
そして第二部、展覧会の絵。
…この曲、本当に怪物なんです。
ギターの枠を遥かに超えるような世界観と、それを可能にしたあまりにデタラメな超絶技巧及び山下さん本人のオーバーリアクションともとれる演奏スタイルから、彼を世界一のギタリストと称賛する人もいる一方で、批判する声も無くはありません。
文句無く素晴らしいです。これが30年以上前に完成してるんだから恐ろしい。
この山下さんのように、さぞエキセントリックな世界が繰り広げられるのだろう…と予想していましたが、それに反してカバジェロさんの演奏はとても上品。
もちろん山下和仁編ならではの超絶改め変態技巧の数々が繰り出されますが、総じて「凄いことをしているように見えない」凄さがあります。
というかこれだけの曲を弾いているのだからもうちょっと暴れた方が良いんじゃないかと思うくらい、とにかく冷静でいて美音。勢いに任せた弾き飛ばしなどが全くありません。約35分の演奏を終えても、本人は小さく微笑むぐらいで至って冷静そのもの。
技巧は技巧で楽しむとともに、曲のドラマチックさも感じることができました。キエフの大門に帰ってきた満足感が何とも素晴らしい。「凄いことをしているなあ」ではなく「良い曲だなあ」と思えたことがとても満足です。
あまりに普通に弾いてしまうので、自分でもできるんじゃないかと錯覚しました。
1ミリも真似できませんでした。
もう1公演あります!必聴!
で、このカバジェロさんの演奏が今週末にもあります。
内容の充実っぷりに反してまだチケットが幾らかあるようです。

この曲をレパートリーとして演奏会で弾ける人が世界に何人いるでしょうか。
早々体験できるものでない機会であることは確かです。
ぜひ5/18(土)、豊洲シビックセンターホールへ。
セットリスト
~第一部~
組曲「イベリア」/アルベニス
- エボカシオン (第1巻) 港〜カディス (第1巻)
- アルバイシン (第3巻)
- マラガ (第4巻)
半音階的幻想曲とフーガBWV903/バッハ
~第二部~
展覧会の絵/ムソルグスキー(山下和仁編)
- プロムナードⅠ〜 小人
- プロムナードⅡ〜 古城
- プロムナードⅢ〜 テュイルリーの庭 – 遊びの後の子供たちの口げんか
- ビドロ(牛車)
- プロムナードⅣ 〜 卵の殻をつけた雛の踊り
- サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ
- リモージュの市場
- カタコンベ − ローマ時代の墓 〜 死せる言葉による死者への呼びかけ
- 鶏の足の上に建つ古屋− バーバ・ヤガー
- キエフの大門
~アンコール~
コルドバ/アルベニス
アストゥリアス/アルベニス
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ピンバック: ホルヘ・カバジェロが2020年も来る! | 6弦のこと.com